寒地土木研究所
「寒地ITSワークショップ(兼第25回寒地道路連続セミナー)」を開催しました。


 寒地道路研究グループでは、北海道という積雪寒冷地の視点から冬期交通の安全性・効率性の向上などを目的とした、寒地型ITS技術の調査研究を推進しています。これら寒地道路技術を広く、行政機関やコンサルタントなどの技術者、また大学や他の研究機関の研究者の方々への情報提供やや意見交換の場として「寒地道路連続セミナー」を開催しています。
 平成20年8月29日(金)に当所及び北海道ITS推進フォーラム主催により、「寒地ITSワークショップ(兼第25回寒地道路連続セミナー)」を開催しましたので、以下に報告します。

 寒地ITSワークショップの議事次第はこちら
 → http://www2.ceri.go.jp/news/archives/000457.html

≪基調講演と話題提供≫

 基調講演では、北海道大学大学院工学研究科 岸邦宏准教授から「北海道における住民の生活を支えるITS」と題し、生活関連サービスレベル低下時における住民の定住意識の定量化を行い、定住意識を維持・向上させるための社会資本のあり方について、ご講演をいただきました。さらに、地域の経済的基盤を支え、文化的基盤をつくるITSを目指すため、冬期道路の走行に関するリスク受容や積雪寒冷地型ITSの評価についての調査結果をご報告いただきました。

 話題提供として、日産自動車(株)IT&ITS開発部 藤倉利之課長から「SKYプロジェクト~Eco&Safety北海道・横浜での取組み~」と題し、「クルマ」の進化だけでなく、「人」や「社会」まで含めた総合的な取り組みにより、環境・安全の未来社会を実現することを目的とした"SKYプロジェクト"で、現在行われている先進的な取り組みについてご講演いただきました。

≪第1セッション≫
第1セッションは、3件の研究発表があり、内容は以下の通りです。

網走市役所 企画総務部 企画調整課 課長 田口桂氏:「車車間通信を利用した安全支援システム開発の実証実験」
 網走市がユビキタス特区の対象プロジェクト地域に決定されたため、その制度を活用し、積雪寒冷地における車車間通信の技術を利用した実証実験の紹介など。

ソリトン・コム株式会社 代表取締役 野田竜也氏:「ドライブレコーダの最新活用事例」
 ドライブレコーダーが、緊急自動車の移動情報把握などに活用されていることや、また、これらのデータが"道路の走りやすさマップ"などへ応用されている事例の紹介など。

当研究所 雪氷チーム 緒方聡:「北の道ナビに見る道路情報提供の価値について
 高度化を行った"距離と時間検索"機能について、高度化前の事前調査と高度化後の事後調査を行い、道路情報提供の価値を検証した結果報告など。

≪第2セッション≫
 第2セッションは、4件の研究発表があり、内容は以下の通りです。

(株)ドーコン 交通事業本部 交通部 主任技師 有村幹治氏:「渋滞情報データのマイニング:札幌都市圏の事例」
 札幌市内で観測された渋滞データをk-means法でクラスタリングし、渋滞発生傾向と発生地点分布を分類、渋滞の時間・空間的な変動を把握した。それらデータから意味を抽出し、発想支援型のITSデータの加工方法の提示など。

ニセコ町役場 企画課 課長 加藤紀孝氏:「ニセコ町のまちづくりに貢献するITS」
 ニセコ町で取り組んでいる、景観・観光を活かす道路環境整備として、IT技術を活用した「これだすシステム農産物補給編・農産物集荷編」や、中心市街地「綺羅街道」の電線地中化や街路整備による環境・景観作り、それに伴う超高速通信環境の整備事例。さらに、町内循環バス「ふれあいシャトル」などの取り組み事例の紹介など。

サンコーコンサルタント(株) 道路部 道路課 課長 沼田実氏:「車輌搭載型道路状況画像処理システムとカード型GPS装置の開発」
 近年、冬期路面管理調査の中でも自動計測方式が用いられているが、調査費用が高額となる場合が多い。このたび、普通乗用車へ車載可能な簡易着脱方式の計器アタッチメントと撮影処理装置、メモリカード式多チャンネルGPS装置を開発し、これらの技術紹介など。

北海道開発局 札幌開発建設部 道路調査課 第2調査係長 田宮敬士氏:「道路管理用画像を利用した道路視界情報提供システムの開発」
 インターネットなどでも公開されている既存の道路管理用画像(CCTVカメラ画像)を活用し、視界状況などを数値化、ランク付けすることにより、一般の道路利用者にもわかりやすく情報提供を行うRVIS(Road Visibillity Information System)を、一般国道230号と231号において試験運用し、その精度や効果などの評価を行った結果報告など。


当日は、北海道開発局などの行政機関や研究機関、コンサルタントなどの民間企業から、約120名のご参加をいただき、活発な議論が交わされました。
西村審議役の開会挨拶
▲西村審議役の開会挨拶
北海道大学大学院工学研究科 岸邦宏准教授
▲北海道大学大学院工学研究科 岸邦宏准教授
日産自動車(株)IT&ITS開発部 藤倉利之課長
▲日産自動車(株)IT&ITS開発部 藤倉利之課長
網走市役所企画総務部企画調整課 田口桂課長
▲網走市役所企画総務部企画調整課 田口桂課長
ソリトン・コム株式会社 野田竜也代表取締役
▲ソリトン・コム株式会社 野田竜也代表取締役
当所雪氷チーム 緒方研究員
▲当所雪氷チーム 緒方研究員
(株)ドーコン交通事業本部交通部 有村幹治主任技師
▲(株)ドーコン交通部 有村幹治主任技師
ニセコ町役場企画課 加藤紀孝課長
▲ニセコ町役場企画課 加藤紀孝課長
サンコーコンサルタント(株)道路部道路課 沼田実課長
▲サンコーコンサルタント(株)道路課 沼田実課長
北海道開発局札幌開発建設部道路調査課 田宮敬士 第2調査係長
▲札幌開発建設部道路調査課 田宮敬士 第2調査係長
座長を務める当所雪氷チーム 松沢上席研究員
▲座長を務める当所雪氷チーム 松沢上席研究員
閉会挨拶(北海道ITS推進フォーラム事務局長 石本敬志氏)
▲閉会挨拶(北海道ITS推進フォーラム 石本敬志氏)
セミナー会場の様子(1)
▲セミナー会場の様子(1)
セミナー会場の様子(2)
▲セミナー会場の様子(2)


配付資料(PDF)

「北海道における住民の生活を支えるITS」
岸邦宏:北海道大学大学院工学研究科 准教授
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_00_01.pdf ( 1.2MB)

「車車間通信を利用した安全支援システム開発の実証実験」
田口桂:網走市役所 企画総務部 企画調整課 課長
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_01_01.pdf ( 1.6MB)

「ドライブレコーダの最新活用事例」
野田竜也:ソリトン・コム株式会社 代表取締役
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_01_02.pdf ( 0.1MB)

「北の道ナビに見る道路情報提供の価値について」
緒方聡:(独)土木研究所寒地土木研究所 雪氷チーム 研究員
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_01_03.pdf ( 4.1MB)

「渋滞情報データのマイニング:札幌都市圏の事例」
有村幹治:(株)ドーコン 交通事業本部 交通部 主任技師
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_02_01.pdf ( 3.1MB)

「ニセコ町のまちづくりに貢献するITS」
加藤紀孝:ニセコ町役場 企画課 課長
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_02_02.pdf ( 4.8MB)

「車輌搭載型道路状況画像処理システムとカード型GPS装置の開発」
沼田実:サンコーコンサルタント(株) 道路部 道路課 課長
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_02_03.pdf ( 5.5MB)

「道路管理用画像を利用した道路視界情報提供システムの開発」
田宮敬士:国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部 道路調査課 第2調査係長
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/snow/080829/080829_its_02_04.pdf ( 7.0MB)


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