本サイトでは、極端な暴風雪・大雪の評価技術や活用に関する研究成果と、評価技術を用いた暴風雪・大雪のハザードマップのpngおよびgeotiffファイルを公開いたします。
冬期における防雪計画の検討などにご活用いただければ幸いです。
2.研究成果の概要版はこちら、詳細な説明は各項目のリンクPDFをご参照ください。よろしくお願いいたします。
日本雪工学会論文集,令和5年39巻2号:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
一回の暴風雪の厳しさを示すために,吹雪障害の基準数値を設定のうえ,個々の路線・区間の障害を示す「障害度」,道路ネットワークの障害や地域の災害の規模を示す「警戒レベル」の評価指標を,北海道・東北地方・新潟県を対象に設定しました.
日本雪工学会論文集,令和5年39巻3号:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
一回の大雪の厳しさを示すために,時間降雪量を用いて,個々の路線・区間の障害を示す「障害度」,道路ネットワークの障害や地域の災害の規模を示す「警戒レベル」の評価指標を,積雪寒冷地域を対象に設定しました.
寒地土木研究所月報No.844,2023年6月:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
一回の暴風雪や大雪の厳しさを評価する指標の検討結果に基づいて,北海道開発局開発建設部ごとに暴風雪および大雪の警戒レベルの評価指標の閾値を設定しました.
暴風雪障害度 | 暴風雪警戒レベル | ||
---|---|---|---|
障害度 | 評価指標 | 推定される状況 | 評価指標 |
障害度0 | 視程50m未満 (時間吹雪量300kg/m/h以上)が0~3時間継続 |
視程低下により走行環境が悪化 | 一回の暴風雪において時間吹雪量300kg/m/h以上となる最大面積率
※警戒レベルは,対象範囲ごとに再現期待値が異なることに留意 |
障害度1 | 視程50m未満 (時間吹雪量300kg/m/h以上)が3~6時間継続 |
||
障害度2 | 視程50m未満 (時間吹雪量300kg/m/h以上)が6時間以上継続 |
通行止めが必要なほどの障害が発生 | |
障害度3 | 吹きだまり20cm以上/3h (時間吹雪量3000kg/m/3h以上)が発生 |
軽自動車の発進が困難となる吹きだまりが発生 |
大雪障害度 | 大雪警戒レベル | ||
---|---|---|---|
障害度 | 評価指標 | 推定される状況 | 評価指標 |
障害度1 | 時間降雪量の積算値 40cm以上/24h | 車両滞留,通行止めが発生する程度 | 一回の大雪において時間降雪量の積算値40cm/24h以上となる最大面積率 ※警戒レベルは,対象範囲ごとに再現期待値が異なることに留意 |
障害度2 | 時間降雪量の積算値 40cm以上/12h | 半日で車両滞留,通行止めが発生する程度 | |
障害度3 | 時間降雪量の積算値 20cm以上/3h | 除雪1サイクル程度の時間で,路面状況の悪化,視程低下 |
警戒 レベル |
暴風雪・大雪災害の規模 | 再現 期間 |
---|---|---|
5 | 通行止め+集落孤立(自衛隊の災害派遣など) | 10年超 |
4 | 通行止め+除雪作業困難(災害対策本部の設定) | 2-10年 |
3 | 通行止め,立ち往生発生,(多重)事故発生 | 1-2年 |
2 | 平均旅行速度の低下,事故発生 など | |
1 |
除雪 |
日本雪工学会論文集,令和6年40巻4号:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
暴風雪は新潟県以北,大雪は積雪地域を対象に,道路管理者や道路利用者が計画段階で活用可能なハザードマップを開発した過程とその特徴を示しました.また,暴風雪や大雪時の道路交通確保に向けた道路管理者の取り組みに応じた判断支援方策を整理のうえ,開発したハザードマップの活用案を提示しました.
※ 以下に,暴風雪・大雪のハザードマップ(推算に基づく出力値:水平分解能5km格子)を示します.
本ハザードマップにおける作成過程や留意点は上記研究成果,ダウンロードする場合には使用許諾条件をご一読ください(アイコンをクリックすると表示されます).
【左上下・中上下・右上;パターン① 統計値,右下;パターン② 24時間最大値と冬期累積値との比】
ハザードマップ研究成果をご参照願います
視程50m未満3時間以上の発生頻度(回/10年)
視程50m未満6時間以上の発生頻度(回/10年)
冬期平均累積吹雪量(kg/m)
吹きだまり深さ20cm以上/3h以上の発生頻度(回/10年)
24時間最大吹きだまり深さ(cm)
24時間吹雪量(最大)/冬期累積吹雪量(平均)
要素 | 単位 | 表現される内容,事象 | 想定される活用方法 | |
---|---|---|---|---|
障害度 | 評価指標 | |||
障害度1 | 視程50m未満(吹雪量300kg/m/h以上)が3~6時間継続 | 回/10年 |
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|
障害度2 | 視程50m未満(吹雪量300kg/m/h以上)が6時間以上継続 | 回/10年 |
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|
障害度3 | 吹きだまり深さ20cm以上/3h(吹雪量3000kg/m/3h以上)が発生 | 回/10年 |
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24時間最大吹きだまり深さ | cm |
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冬期平均累積吹雪量 | kg/m |
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24時間吹雪量(最大)/冬期累積吹雪量(平均) | - |
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【左上下・中上下・右上;パターン① 統計値,右下;パターン② 24時間最大値と冬期累積値との比】
ハザードマップ研究成果をご参照願います
24時間降雪量40cm以上の発生頻度(回/10年)
12時間降雪量40cm以上の発生頻度(回/10年)
冬期平均累積降雪量(cm)
3時間降雪量20cm以上の発生頻度(回/10年)
24時間最大降雪量(cm)
24時間吹雪量(最大)/冬期累積吹雪量(平均)
要素 | 単位 | 表現される内容,事象 | 想定される活用方法 | |
---|---|---|---|---|
障害度 | 評価指標 | |||
障害度1 | 時間降雪量の積算値 40cm以上/24h |
回/10年 |
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障害度2 | 時間降雪量の積算値 40cm以上/12h |
回/10年 |
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障害度3 | 時間降雪量の積算値 20cm以上/3h |
回/10年 |
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24時間最大降雪量 | cm |
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冬期平均累積降雪量 | cm |
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24時間降雪量(最大)/冬期累積降雪量(平均) | - |
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【パターン③ 階級化した危険度】
ハザードマップ研究成果をご参照願います
暴風雪の階級化ハザードマップ
危険度 | 説明 | 表示要素を基にした判定条件 ※どちらかを満たした場合 | |
---|---|---|---|
条件1 | 条件2 | ||
危険度0 | 交通障害発生 (視程障害)の可能性が低い |
視程50m未満 継続3~6時間(障害度1)の履歴なし(1回/10年未満) | - |
危険度1 | 交通障害発生 (視程障害)の可能性がある |
視程50m未満 継続3~6時間(障害度1)の履歴あり(1回/10年以上) | - |
危険度2 | 重度の交通障害 (視程障害,吹きだまり),通行止め発生の可能性がある |
視程50m未満 継続6時間以上(障害度2)の履歴あり(1回/10年以上) | 吹きだまり20cm/3h以上(障害度3)の履歴あり(1回/10年以上) |
危険度3 | 重度の交通障害,通行止めが発生しやすい | 視程50m未満 継続6時間以上(障害度2)が2年に1回(5回/10年以上)程度 | 吹きだまり20cm/3h以上(障害度3)が2年に1回(5回/10年以上)程度 |
危険度4 | 重度の交通障害,通行止めが頻発する | 視程50m未満 継続6時間以上(障害度2)が1年に1回(10回/10年以上)程度 | 吹きだまり20cm/3h以上(障害度3)が1年に1回(10回/10年以上)程度 |
大雪の階級化ハザードマップ
危険度 | 説明 | 表示要素を基にした判定条件 |
---|---|---|
危険度0 | 交通障害発生の可能性が低い | 24時間降雪量の既往最大値が40cm未満(障害度1の履歴なし) |
危険度1 | 交通障害発生の可能性がある | 24時間降雪量の既往最大値が40cm以上(障害度1の履歴あり) |
危険度2 | 交通障害,通行止めが発生しやすい | 24時間降雪量40cm以上(障害度1)の発生頻度が1年に1回以上(10回以上/10年) |
危険度3 | 交通障害,通行止めが頻発する | 24時間降雪量40cm以上(障害度1)の発生頻度が1年に4回以上(40回以上/10年) |
※ 吹雪によって生じる道路上の視程低下や吹きだまりは,気象のほか,雪原や樹林帯・家屋の様子などの周辺環境や,盛土・切土などの道路構造にも影響を受けることが知られています.
本開発でハザードマップは水平分解能5km格子であることから,ハザードマップはより細かい空間スケールで変化すると考えられる土地利用や周辺環境,道路構造の空間分布は考慮していないことにご留意ください.
※ geotiffファイルは,各メッシュに数値が入ったラスタデータです.階級分けした表示をするためには,GISソフトでの設定が必要です.
※ 本ハザードマップは,気象庁が提供するJRA-55領域ダウンスケーリング(DSJRA-55)を利用しました.
またこのデータセットは,文部科学省の補助事業により開発・運用されているデータ統合解析システム(DIAS)の下で,収集・提供されたものです.
日本雪工学会論文集,令和6年40巻4号:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
暴風雪は新潟県以北,大雪は積雪地域を対象に,道路管理者や道路利用者が計画段階で活用可能なハザードマップを開発した過程とその特徴を示しました.また,暴風雪や大雪時の道路交通確保に向けた道路管理者の取り組みに応じた判断支援方策を整理のうえ,開発したハザードマップの活用案を提示しました.
寒地土木研究所月報No.830,2022年4月:原田裕介・大宮哲・武知洋太・遠藤康男・西村敦史
暴風雪時の道路管理における判断支援方策を検討するために,暴風雪時における道路管理体制と課題を整理した結果を提示しました.
寒地土木研究所月報No.856,2024年4月:原田裕介・大宮哲・武知洋太・西村敦史
暴風雪時における道路管理体制と課題を踏まえて,一回の極端な暴風雪や大雪の厳しさを評価する技術およびハザードマップを用いた,暴風雪や大雪時の道路管理における判断支援方策(案)を取りまとめました.
道路交通確保に向けた 道路管理者の取り組み項目 |
判断支援方策案 | ||
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評価指標の予測値 | ハザードマップ | ||
障害度 | 警戒レベル | ||
1) タイムライン(段階的な行動計画)の作成 | 通行規制の判断材料のひとつ | 危機管理レベルヘの切り替えの判断材料のひとつ | - |
2) 除雪体制の強化 | - | 道路管理者間の連携の必要性や実施地域を判断 | 除雪体制検討の参考 |
3) 除雪作業を担う地域建設業の確保 | 除雪車オペレーター等の適切な休憩を含めた除雪計画の参考 | 除雪車オペレーター等の適切な休憩を含めた除雪計画の参考 | - |
4) 地域や民間団体による除雪作業への協力体制の構築 | - | - | 除雪体制検討や地域の防災計画策定の参考 |
5) チェーン等の装着の徹底 | - | - | 冬タイヤやチェーンの装着の可能性がある地域の事前啓発 |
6) 短期間の集中的な暴風雪および大雪時の行動変容 | 事象発生時に障害度の予測情報を提供 | 事象発生時に警戒レベルの予測情報を提供 | - |
7) 短期間の集中的な暴風雪および大雪時の計画的・予防的な通行規制・集中除雪の実施 | タイムラインの各段階の移行における判断条件のひとつ | タイムラインの各段階の移行における判断条件のひとつ | リスク箇所の把握 |
8) 立ち往生車両が発生した場合の迅速な対応 | 情報の把握や提供時の補足的な活用 | 情報の把握や提供時の補足的な活用 | リスク箇所の把握 |
9) 基幹的な道路ネットワークの強化 | - | - | 優先的な強化区間の検討材料 |
10) スポット対策、車両待機スペースの確保 | - | - | リスク箇所の把握 |
■24時間最大吹きだまり深さ(cm)のgeotiffファイルの数値は,24時間最大吹雪量(kg/m/24h)で出力されているため,以下の換算表をご参照のうえご利用ください.
geotiffファイルの数値 (24時間吹雪量(kg/m/24h)) |
吹きだまり深さ(cm) |
---|---|
3000以下 | 20以下 |
3000 | 20 |
6000 | 40 |
10000 | 60 |
20000 | 120 |
40000 | 250 |
40000以上 | 250以上 |