平成18年9月8日(金)に、北海道ITS推進フォーラムとの共催で寒地ITSワークショップ(兼第18回寒地道路連続セミナー)を開催しました。今回のワークショップでは、積雪寒冷地の視点から地域のITSについて幅広い議論を行いました。
寒地ITSワークショップの議事次第はこちら
→ http://www2.ceri.go.jp/news/archives/000316.html
講演では、秋田大学の浜岡秀勝助教授から「冬期の道路交通問題に対する秋田での取り組み」と題して、「国道46号での冬期道路サービスの向上」「冬期道路情報提供システムの構築」「冬期スリップ低減型交差点の設計」についてご講演いただきました。サービスの実例として、「46NAVI」「もしもしピット」などを紹介いただき、これらの取り組みを効率的に推進するには、市民の関心を高め、関係者間の調整・連携が必要であること、また、スリップ事象の検知や信号切替時の運転者の判断など、分析の深度化の必要性についてのお話をいただきました。
次に、第1セッション「行政・研究機関からの発表」では、5件の発表がありました。
北海道開発局建設部道路計画課調査第1係長の畑山朗氏から「北海道における外国人旅行者のドライブ観光調査(中間報告)」と題し、外国人ドライブ観光での経路案内方法の検討状況やGPS携帯電話の活用検討、外国人ドライブ観光とシーニックバイウェイ活動団体との「地域情報発信」における連携の可能性についてご講演いただきました。
小樽市役所都市計画課主査の阿部宏之氏から「小樽市内における歩行者用案内標識の整備について」と題し、地理に不案内な観光客が安心して散策のできる環境整備を目指した標識設置事例が紹介され、今後の事業展開についてご講演いただきました。
はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科鈴木研究室の大久保彰之氏から「i-podによる函館観光案内の実証実験について」と題し、観光総合案内サービス実験の携帯電話とQRコードを活用した口コミ・飲食店情報(ハコレコ)やi-Podビデオレンタルサービス等の紹介、観光客へのアンケート調査結果やi-Podビジネスの今後の課題と展望についてご講演いただきました。
当所寒地道路研究グループ雪氷チーム上席研究員の加治屋安彦から「北の道ナビの7年にわたる運営経験から見えるもの」と題し、北の道ナビの開設から現在までの経緯や機能改善、機能追加によるアクセス数の向上などについて紹介されました。また、これらの取り組みについて、運営する側にたった場合でも、あくまでも利用者の立場に立ってコンテンツを作製、拡充していく重要性について講演しました。
東日本高速道路(株)北海道支社管理事業部ETCチーム チームリーダーの若原俊二氏から「北海道のETCについて」と題し、ETCの整備状況、ETC車載器のセットアップ状況、ETC利用率とその分析、北海道支社におけるETC普及促進活動とアンケート調査によるユーザーニーズの高さなどについてご講演いただきました。
さらに、第2セッション「民間企業からの発表」では、3件の発表がありました。
(株)北海道朝日航洋ITS企画グループ グループリーダーの下嶋努氏から「プローブカーを用いた道路情報収集とコンテンツ」と題し、カーナビゲーションシステムに用いられる地図データを作成する際の情報収集手法の新たな取り組みとして、車両にハイビジョンカメラを搭載し、走行しながら動画を撮影する手法が紹介されました。
その画像は、プログレッシブスキャン(ノンインターレス)のため、1枚の写真として抽出可能であるのと同時に、GPSデータより緯度経度が自動的に付与されるシステムとなっています。
そのため、地図データ作製のためだけではなく、道路構造物などの維持管理にも活用可能である旨のご紹介をいただきました。
サンコーコンサルタント(株)札幌支店技術部 技術課長の沼田実氏から「ITS技術を活用した凍結防止剤散布システムの評価試験」と題し、冬期の道路管理における、路面凍結防止対策の効率化を目的とした、路面状態予測手法の開発、凍結防止剤散布支援システムの構築、システム導入による現道における薬剤散布評価試験結果とその効果についてご講演いただきました。
富士通(株)ITS事業部開発部 部長の田村寿仁氏から「寒地道路における走行環境情報の収集・活用に関する考察Ⅱ」と題し、ミリ波センサを活用した視程障害時の多重衝突事故誘発要因の検知機能と交通量計測機能を有する実験システムについて、ミリ波センサでリアルタイムによる吹雪危険度判定の実現性の評価結果や、ミリ波センサの視程観測結果など、今後のミリ波センサシステムの可能性についてご講演いただきました。
本ワークショップには、北海道開発局をはじめ、行政機関、道路関係機関、民間企業等から約110名のご参加をいただきました。大変ありがとうございました。
▲セミナー開催状況 | ▲開会挨拶(寒地道路研究グループ長 小笠原) | |
▲秋田大学土木環境工学科 助教授 浜岡氏 | ▲北海道開発局 建設部 道路計画課 畑山氏 | |
▲小樽市役所都市計画課 主査 阿部氏 | ▲はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科 大久保氏 |
▲寒地土木研究所 上席研究員 加治屋 | ▲東日本高速道路(株)北海道支社 ETCチーム 若原氏 |
▲(株)北海道朝日航洋ITS企画グループ 下嶋氏 | ▲サンコーコンサルタント(株)札幌支店技術部 沼田氏 |
▲富士通(株)ITS事業部開発部部長 田村氏 | ▲閉会挨拶(北海道ITS推進フォーラム 蓮井氏) |
配付資料(PDF)
基調講演「冬期の道路交通問題に対する秋田での取り組み」
秋田大学土木環境工学科 助教授 浜岡秀勝
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_00_01.pdf (2.4MB)
「北海道における外国人旅行者のドライブ観光調査(中間報告)」
北海道開発局 建設部 道路計画課 調査第1係 係長 畑山朗
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_01_01.pdf (2.8MB)
「小樽市内における歩行者用案内標識の整備について」
小樽市役所都市計画課 主査 阿部宏之
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_01_02.pdf (9.2MB)
「i-Podによる函館観光案内の実証実験について」
はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科鈴木研究室 大久保彰之
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_01_03.pdf (0.9MB)
「『北の道ナビ』の7年にわたる運営経験から見えるもの」
(独)土木研究所 寒地土木研究所 上席研究員 加治屋安彦
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_01_04.pdf (5.2MB)
「北海道のETCについて」
東日本高速道路(株)北海道支社 管理事業部 ETCチーム チームリーダー 若原俊二
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_01_05.pdf (0.6MB)
「プローブカーを用いた道路情報収集とコンテンツ」
(株)北海道朝日航洋ITS企画グループ グループリーダー 下嶋努
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_02_01.pdf (2.5MB)
「ITS技術を活用した凍結防止剤散布システムの評価試験」
サンコーコンサルタント(株)札幌支店技術部 技術課長 沼田実
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_02_02.pdf (1.7MB)
「寒地道路における走行環境情報の収集・活用に関する考察Ⅱ」
富士通(株)ITS事業部開発部 部長 田村寿仁
→ http://www2.ceri.go.jp/jpn/news/bousai/060908/060908_its_02_03.pdf (1.4MB)
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