寒地土木研究所
武知洋太 雪氷チーム研究員 平成19年度 土木学会北海道支部奨励賞を受賞


 平成20年4月24日に、「平成19年度土木学会北海道支部通常総会」が行われ、当研究所 寒地道路研究グループ 雪氷チームの武知洋太研究員に、平成19年度 土木学会北海道支部奨励賞が授与されました。
 受賞対象となった論文は、平成20年1月30日~31日に開催された、平成19年度土木学会北海道支部年次技術研究発表会において発表した「吹雪映像を用いた吹雪時の視程評価」で、論文の概要は以下の通りです。
 現在、道路交通管理に用いられてきている「視程」は航空気象や海洋気象に基づくものであり、道路とは利用環境が異なる状況下で定義されたものです。このため、道路利用者の視点にたった道路交通管理のための視程計測、評価方法は定義が確立されていません。従って、道路交通により適した視程の評価方法を新たに定義していくことが必要となっています。そこで、吹雪時の映像を用い、吹雪による視程障害時に道路利用者の感じる視程と従来観測している視程との差異や視程に対する気象状況の影響について調査を行いました。
 その結果、「機械視程200m未満では、映像視認距離は機械視程よりも概ね70m短いこと」、「映像視認距離と飛雪流量の関係には、飛雪流量が大きい場合、従来提案されている関係式との差異が見られること」、「雪粒子の投影面積フラックスが大きいほど映像視認距離は低下し、映像視認距離との相関は風速や飛雪流量より高いこと」などを明らかにしました。
 本論文は、自然環境下において、取得の難しい著しい吹雪による視程障害時の映像や気象、吹雪物理量のデータを取得し、被験者実験によって道路利用者の実体験に基づいた視程評価を用いることにより、人間の感覚を実直に反映した視程評価を試み、(1)「従来、道路において観測される機械視程は道路利用者が感じている視程に比べ過大に評価される傾向にある」、(2)「道路利用者が感じる視程は雪粒子の投影面積フラックスとの相関が強い」など、今後の道路交通に適した「視程」の定義に向けた研究において、重要な要素となる成果を得たことが、この分野の今後の発展に寄与するものとして評価されたものです。
 本論文は、現在、雪氷チームで行っている「吹雪視程障害に関する研究」の一環として行われた実験をとりまとめたものであり、今後さらに道路交通のための吹雪視程計測手法の提案に向けて発展が期待されるものであります。


受賞式の様子
▲受賞式の様子
奨励賞を受賞した武知洋太研究員
▲奨励賞を受賞した武知洋太研究員
賞状


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