寒地土木研究所
松沢勝 雪氷チーム総括主任研究員 博士(工学)の学位授与される


 松沢勝 雪氷チーム総括主任研究員(旧:防災雪氷研究室副室長)におかれましては、平成18年3月24日付けで北海道大学より博士(工学)の学位が授与されました。
 
 学位論文は「吹雪時の視程推定手法とその活用に関する研究」で、その概要は以下の通りです。

 吹雪による視程障害は冬期道路の安全性を脅かし、時には多重事故の誘因となります。このため吹雪による視程障害対策は積雪寒冷地においては重要な課題です。ところで吹雪による視程障害は、空間的、時間的にも変動が大きいことが知られています。従って、吹雪情報をドライバーに提供することでドライバーが吹雪を回避する行動をとることが可能となり、冬期道路の安全性や安心感を向上させるのに有効と考えられます。
 しかし、視程の情報は峠など一部の地点に視程計が設置されているのみで、現時点では、吹雪時の視程を簡易に広域で現況把握・予測する汎用的な方法・技術は明らかではありませんでした。このため、吹雪情報を提供することによる冬期道路の安全性や安心感を向上の可能性を示した研究も存在しませんでした。
 そこで、この研究では、容易に入手できる気象データから吹雪時の視程を推定する手法の開発を行い、その手法を活用して広域での吹雪情報(視程情報)を提供するシステムを試作し、実際にドライバーに吹雪情報を提供して、冬期道路の安全性や安心感の向上について調査を行いました。その結果、開発した視程推定手法は、道路情報提供における吹雪時の視程推定手法として十分利用可能なものであり、視程情報を含む吹雪情報の提供は、吹雪対策の一方策としてドライバーの安全性や安心感の向上に有効であるという結論が得られました。

 なお、本研究の成果は寒地土木研究所の「札幌圏吹雪の広域情報提供実験」、旭川開発建設部の「冬の峠案内」等の冬期の道路気象情報提供実験サイトで活用され、道路利用者の安全、安心感の向上に役立てられています。

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▲学位記を授与された松沢勝氏
   

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